2010年5月
05/01(土曜日)
「かせぎとつとめ」 (「新しい公共」オープンフォーラム(その1))
秘書官が撮りました。
4月25日(日)に、「新しい公共」オープンフォーラムを実施いたしました。
日曜日にも関わらず、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。Ustreamでライブ中継も行いましたので、ご覧いただいた方もいらっしゃると思います。
私は、昨年9月に内閣総理大臣に就任して以来、人が支え合い、国民一人ひとりが「居場所と出番」を見出すことのできる社会、「支え合って生きていく日本」を目指したいとお伝えしてきました。その実現に向け「新しい公共」という考え方を提起しましたが、これは新政権から始めた特別な考え方ではありません。
今日のフォーラムでも紹介されましたが、日本には、昔から、「稼ぎができて半人前、つとめを果たせて半人前、両方こなせて一人前」という人物評価があります。
「つとめ」とは、自分のことではなく人様のこと、世間様のことにひと肌脱いで、役に立つということでしょう。
一人前の人間であると認められるためには、どのような職業でも、自分や家族が食べていくだけの甲斐性は当然として、加えて、公(おおやけ)の役に立つことがいわば必要条件という考え方です。
明治以降の近代国民国家の形成の過程で、日本は、「公共」の役割を中央政府に集権させて来ました。
しかし、時を経るごとに、「官」は、しらずしらず傲慢になり、一人ひとりの人間がご近所や世間の役に立つという、地域の人々が伝統的にもってきた公共の「心意気」、公共の原点を失いつつあるのではないでしょうか。
一方で、時代を追うごとに、地域の人々も、ややもすれば自らが公共の主体であるという、当事者意識を失いがちで、他人事のように、「官」を批判の矢面に立てる傾向が強まってはいないでしょうか。
現代に目を移しましょう。
阪神淡路大震災をひとつの大きな契機として、日本の社会において、NPOや各種の市民運動は、多くの課題を抱えつつも、活発化し、日本社会の中でなくてはならないものになっています。
こうした方々の活動を、さらに応援するために、政府としてもっと力強い支援や環境整備を行うべきことは、言うまでもありません。
前回の円卓会議では、寄付税制の抜本的拡充を決定しました。
しかし、「新しい公共」は、決して、一部のNPOのみをあらわす概念ではありませんし、「新しい公共推進策」イコール、認定NPO支援策ということではありません。
冒頭に申し上げたように、日本の社会には、あるいは日本人の心の中には、公(おおやけ)の精神が宿ってきたし、今日でもその美風は消えてはいません。
例えば、市民活動という言葉が定着するはるか以前から、各地で公共的な活動が長年行われてきています。
PTA活動、地域ぐるみの防犯活動、あるいは商店街など地域の人々によるまちづくり、村おこし、消防団の活動、さらにいえば夏の夕暮れ時に近所のお年寄りが縁台に佇みながら、近所の子どもたちに小言をくれる、目を配る、そんな風景に至るまで、私が申し上げる「新しい公共」を形作る重要な活動であり、要素であると私は思っております。
利益追求が本来目的である企業の活動もその例外ではない、それが、先日のフォーラムで参加された経済人の皆さんが口々におっしゃったことでした。
天神橋筋商店街の土居理事長さん曰く、町商人(まちあきんど)というものは、町で商いをするだけでなく、町を守っていかないと、その名に値しない、物を売るだけでなく、事をなすのが、商売人の本義。そんな精神がまだ残っているからこそ、日本には2万社を超える長寿企業が存続しているのかもしれません。
同様のことを、日本を代表する若手経営者の一人である、新浪さんがおっしゃったのも新鮮でした。
行政官や政治家だけが公共の担い手であり、商売人や企業家は利潤を追求していればよい、そんな役割分担は、実は、日本の社会には似合わないということを私は申し上げたいのです。
私は、古くから日本の地域の中に、そして人々の中にある、「おおやけ」、「公共」を現代にふさわしい形で復活させたいと思います。
若者たち、地域の人々、企業家あるいは、社会企業家たち、国際的なNGOなど、さまざまな主体が、政府と協調して「公共」を支える新しい社会を作りたい。
NPOや社会企業家の方々が主張し実践される「新しい公共」と、現代の中に創意工夫で復活する「なつかしい、地域の公共」と、新しい政府、自治体、そして企業などが、積極的に連携する、新しい「国のかたち」をつくりたいのです。
違った職業や役割を担う個人が、それぞれの中に存在する公共性を互いに認識しながら、時と場合に応じて、お互いに役割を交換したり、補完しながら、世の中のために働く、そんな社会を作りたいのです。
そうした総体が、私が申し上げる「新しい公共」であり、それを政府が後方から支援することによって、人間らしい経済社会を築き、人や地域の絆の再生につなげていきたいと考えています。
(この項、長くなりますので、次回に続けます)



